◎この用語集について

第99回日本エスペラント大会(2012年札幌市)の大会テーマ「緑のことばで緑を語ろう」に触発され,私たち NUN-Vortoj は,「日本の官庁名」,「原子力発電所」,「インターネット暮らしの用語集」に続く本格的な分野別日エス用語集として,「環境問題用語集」を制作しました。
編集の手順としては,まず,レスター・ブラウン著 Plan B 3.0 の英語原文,エス訳,日本語訳を比較しながら主要な概念と用語を収集し約2000項目の基礎資料を作成しました。その後,一般書籍やウェブサイトから更に環境問題に関する日本語表現を約2000項目収集し,重複排除と吟味精選の結果,約2000の見出し語を決定しました。対応するエス表現の選定には,既存の辞書や雑誌記事の他,Vikipedio をはじめとするウェブ情報を利用しました。既存の表現を組み合わせて対応したものもあります。
収録した用語は,環境全般,会議・条約,生物多様性,地球温暖化,水,海洋,砂漠化,農業,漁業,食糧,人口,ごみ,石油,代替エネルギー,発電,原発など多岐にわたっています。各分野の専門家が用語を持ち寄って編纂したわけではないので,雑多で整合性のない用語集になったかもしれませんが,実用性を高める努力をしました。
一部の見出し語に付いている( )は,漢字の読み方を示したり,意味や分野を限定します。見出し語の下の「+」印がついた語は副見出し語です。派生語や関連語にあたります。重要なものは見出し語と副見出し語として重複掲載してあります。副見出し語としてのみ収録した用語もあります。
用語集という性格から,名詞や形容詞を原則として単数形で提示しています。実際には複数形で使われることが多いものがあります。適宜,複数形にして使ってください。また,団体名や条約名などで,頭にlaをつけて使うことがふさわしいものもあります。
日本の状況をエスペラントで世界に発信する上でこの用語集が役立てば幸いです。

◎用語について

1. 自然環境用語
●ekologio(生態学)
ekologioの派生語に「環境保護」という意味を持たせて使う傾向があります。例えば,ekologiisto(環境保護論者),ekologia problemo(環境問題)。しかし,ekologioは学問名ですから,これらの用法は,本来あまり望ましくありません。mediprotektisto, naturmediaj problemoj と言う方が明確です。Vikipedio記事にある ekologia agrikulturo(有機農業)は,生態学の知識に基づく農法と説明されていますので,許容範囲と言えます。ekologia sistemo(生態系)は本来の使い方であり,問題ありません。
●eko-とbio-
ekologia sistemo(生態系)を短縮した ekosistemo という語形があります。厳密に言うと,ek- は開始を意味する接頭辞なので,これに別の意味を持たせるのは望ましくないという考え方があります。しかし,eko-は既に広く学術造語要素として使われているので,ekosistem’を一つの語根と見なすことができます。一方,biologia diverseco(生物学的な多様性)を短縮した biodiverseco(生物多様性)も広く使われています。以前からbio-はbiokemio(生化学)のように学術造語要素として定着していますので,問題ありません。
2. 注意すべき単語
●公害
われわれはpoluoを用いました。一部の文献ではpolucioが使われていますが,この語はもっぱら医学用語で「遺精」に限定するべきでしょう。
●庁
官庁名の「庁」は,日本のものはSubministerioとし,外国のものはAdministracio などを用いました。英語ではこれらはAgencyと記されることが多く,一部の文献ではこれに類似した語形のAgentejoが使われていますが,この語はもっぱら本来の意味の「代理店,取次店」に限定するべきでしょう。

◎主要参考文献

1. 主に見出し語の収集に用いた文献
・『Plan B』英語原文:”Plan B 3.0 — Mobilizing to Save Civilization —”,
Lester R. Brown 著,Copyright 2008 by Earth Policy Institute, W. W. Norton & Company, Inc. 出版

http://www.earth-policy.org/images/uploads/book_files/pb3book.pdf

・『Plano B』エスペラント訳:”Plano B — Mobilizo por savi civilizacion —”,Robin Beto 監訳,2009, Eldona Fako Kooperativa de SAT 出版,
・『プラン B』日本語訳:『プランB3.0人類文明を救うために』,織田創樹監訳,2008年,株式会社ワールドウォッチジャパン 出版
・現代用語の基礎知識(環境用語:pp728-807),『現代用語の基礎知識2012』,2012年,自由国民社 出版
・ウェブで見つけた日英の環境用語集。環境情報センター:「和英環境用語対訳集」: <http://www.eic.or.jp/library/dic/download.php>
環境Goo:「環境用語集」: <http://eco.goo.ne.jp/word/issue/ichiran.html>
英語雑貨屋:「環境用語集」: <http://www.rondely.com/zakkaya/irir/envi.htm>
・”Ekoturisma Vortaro”:(エス・チェコ・独・英・仏5言語のエコツアー用語辞典),Zdenek Pluhar 他編,2011年,Kava-Pech(チェコ)発行
・”Fiziko-geografia terminaro”:(エス・英・ブルガリア3言語の自然地理学用語辞典),Hasan Jakub Hasan 編,2012年,Amadeus(ブルガリア)発行
・『エスぺラント日本語辞典』(JEI)の〔環〕用語リスト
・”Praktika Esperanto-Japana Vortareto” (PEJV)の〔環〕用語リスト
・”Kontakto”誌,”Monato誌”等の関連記事。
2.エスペラント表現の出典
・辞書:”Esperanto-Japana Vortaro” (JEI), “Japana-Esperanta Vortaro” (JEI),
“Plena Ilustrita Vortaro” (SAT), “Comprehensive English-Esperanto Dictionary” (ELNA), ”Esperanto-English Dictionary” (English Universities Press)
・雑誌:Kontakto , Monato, Revuo Esperanto (UEA), Fokuso
・専門書籍:
“Energio”: 1981年,Federacio de Esperanto-organizoj en Nederlando(オランダ)出版
“Ekoturisma Vortaro”(前出),”Fiziko-geografia terminaro”(前出),”Plano B”(前出)
・グーグル検索:Vikipedio, Mondiplo, Elektroniko: Elektroaŭto kaj Litio-Baterioj, REVO (Reta Vortaro),
・Humphrey Tonkin他編の国連用語集:”Rekomendita Terminaro Esperanto-Angla kaj Angla-Esperanto por Tradukantoj de Oficialaj Dokumentoj kaj Gazetaraj Komunikoj” <http://www.esperanto-un.org/dokumentoj/terminaro.pdf>

◎ライセンスについて

この「環境問題用語集」は クリエイティブ・コモンズ 表示 2.1 日本 ライセンスの下に提供されています。
Ĉi tiu terminaro estas disponebla laŭ la permesilo Krea Komunaĵo Atribuite 3.0 Neadaptita (CC BY).

◎お知らせ

この用語集をもとに、第99回日本エスペラント大会(2012年札幌市)協賛出版として日本エスペラント協会(JEI)から『日エス環境問題用語集』が出版されました。

標題:日エス環境問題用語集
Japana-Esperanta Terminaro pri Naturmediaj Problemoj
定価:300 円(税別)
編者・著作権者: La Grupo NUN-Vortoj(http://www.vastalto.com/nun/)
発行日:2012年10月1日
発行者:一般財団法人日本エスペラント協会(JEI)
ISBN978-4-88887-074-0 C3587¥300

2 komentoj al “環境問題用語集(説明)”

  1. 織田創樹

    広報ご担当者様
    “Plan B”の著者Lester Brown の新刊”Breaking New Ground”の翻訳を進めております。
    そこに、以下のテキストがあります。当該の個人名(Beteau)及び出版社名(Eldona Fako Kooperativa)のカタカナ・ルビをご教示いただけますでしょうか。

    I was surprised because I’d forgotten we had signed a contract with Robin Beteau in cooperation with Eldona Fako Kooperativa. Although I’ve been published in over forty languages, until this, Basque was perhaps the most exotic language in which I’d been published. But Esperanto? Who would have guessed!

  2. admin

    織田創樹 様
    “Plano B” の共同エスペラント訳のまとめ役である Robin Beteau はいくつかの資料から判断してフランス人であり、エスペラントの文章ではしばしば Robin Beto と表記していることからして、「ロバン・ベトー」とカナ書きするのが妥当かと思われます。

    “Eldona Fako Kooperativa” は正式には “Eldona Fako Kooperativa de SAT” で、「エルドーナ・ファーコ・コオペラティーヴァ・デ・サート」となります。SATについての説明は下記URLで読むことができます。
    http://satesperanto.org/article326,326.html (日本語)

    お役に立てれば幸いです。(ウェブ担当:広高)

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